会社設立登記・役員変更等
【会社に関する登記】
- 株式会社・特例有限会社(会社法施行前の既存の有限会社のこと)等の会社や法人の登記事項(商号・目的・本店・公告方法・株券(不)発行・発行済株式総数・株式譲渡制限規定・資本金・役員等)に変更が生じた場合、その都度、一定の期間内に、登記をしなければなりません。
<株券電子化後の定款変更登記>
1.株券電子化の施行日(平成21年1月5日)をもって、上場会社の「株券を発行する旨の定款の定め」は廃止する定款変更決議をしたものとみなされます(決済合理化法附則6条1項)。 |
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2.施行日後2週間以内(1月19日)に上記の定款変更登記が必要となります(会社法第911条第3項第10号、第915条)。 |
【商号変更・目的変更・公告方法の変更】
- 会社の商号や目的、公告方法は変更することができます。これらは登記事項ですので、株主総会の決議(特別決議)によって定款を変更し、登記を申請する必要があります。
【株式会社の機関等の変更】
- 会社法により、株式会社には株主総会を設置し、1名以上の取締役を最低限置かなければなりません。その他の機関(取締役会、会計参与、監査役、監査役会、会計監査人、委員会等)の設置については、定款で自由に決めることができるようになりました。(但し、公開会社・監査役会設置会社・委員会設置会社は、取締役会を強制的に置かなくてはならないなど、一定のルールは存在。)
- つまり、会社法施行により、株式会社は取締役会・監査役を廃止することによって取締役を1名とし、会社の実体にあった役員構成をすることも可能になった訳です。
- この場合において、株式の譲渡に取締役会の承認を要する規定を設けている株式会社は、取締役会の廃止により、その承認機関を株主総会等へ変更する登記も必要となります。
【取締役会設置会社→取締役会の廃止→株式の譲渡制限規定の変更】
- (「当会社の株式を~、取締役会の承認を要する」という株式譲渡制限規定は、取締役会を廃止したことにより、この譲渡制限の承認機関を、株主総会等に変更しなければなりません。)
【監査役設置会社→監査役の廃止→監査役退任】
→→ <なすべき登記>
- (1)取締役会設置会社の定めの廃止
- (2)監査役設置会社の定めの廃止
- (3)役員変更
- (4)株式譲渡制限規定の変更
【役員変更】
〈株式会社〉
- 平成18年5月1日に会社法が施行されました。
- 会社法では、株式の譲渡制限に関する規定が設定されている株式会社の取締役及び監査役の任期は、定款で定めることにより、最長で選任後10年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで伸長することができます。
- 役員の任期が満了した場合、同一人物が引き続き役員として職務を行う場合でも再任手続きと登記が必要になります。
- 役員の任期を10年にすれば、再任手続きにかかるコストは削減できますが、再任の時期を失念しやすい(12年以上登記をしないと、法務局の職権で解散の登記をされることがある。)、合理的な理由が無い場合の解任をしにくくなる(残存任期分の役員報酬を請求される可能性がある。)等のリスクも生じます。
- なお、平成27年2月から、新任の役員の就任登記には、当該役員の実在証明書(印鑑証明書や住民票、運転免許証等の写しに原本に相違ない旨の奥書をしたもの等)が添付書類となりました。
〈持分会社(合同会社、合資会社、合名会社)〉
- 持分会社は原則として、構成員である社員が登記事項となります。
- 社員には任期がありませんので、メンバーの入れ替わりが無ければ変更登記は必要ありません。
〈一般社団法人、一般財団法人〉
- 一般社団法人は理事と監事が、また一般財団法人は理事、監事、評議員が登記されます。
- それぞれ任期があり(下記のとおり)、再任手続き、登記が必要です。
理事 | 選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで。但し定款で定めることにより短縮することができる。 |
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監事 | 選任後4年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで。但し定款で定めることにより2年を限度に短縮できる。 |
評議員 | 選任後4年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで。但し定款で定めることにより6年を限度に伸長できる。 |
【本店移転】
- 会社が、その本店を移転する場合も、登記が必要になります。本店移転のパターンは、次の4つに分けられます。
- (1)同一市区町村内に本店移転。定款には、本店の具体的所在地が記載されている。
- (2)同一市区町村内に本店移転。定款には、本店の最小行政区画までが記載されている。
- (3)違う市区町村に本店移転。定款には、本店の具体的所在地が記載されている。
- (4)違う市区町村内に本店移転。定款には、本店の最小行政区画までが記載されている。
- これを具体的にします。
- (1) 旧本店:土浦市下高津一丁目 新本店:土浦市中央一丁目
- 定款には、本店を「土浦市下高津一丁目1番1号に置く」と記載されている。
- (2) 旧本店:土浦市下高津一丁目 新本店: 土浦市中央一丁目
- 定款には、本店を「土浦市に置く」と記載されている。
- (3) 旧本店:土浦市 新本店:つくば市
- 定款には、本店を「土浦市下高津一丁目1番1号に置く」と記載されている。
- (4) 旧本店:土浦市 新本店:つくば市
- 定款には、本店を、土浦市に置くと記載されている。
- (1)の場合、本店移転については、定款を変更しなければなりませんので、定款変更決議が必要になります。(2)の場合、定款変更決議は必要ありません。(3)(4)の場合はいずれも、定款変更決議が必要になります。
〈登記申請については、次のとおりとなります。〉
- (1)(2):水戸地方法務局土浦支局に本店移転登記申請。 登録免許税3万円。
- (3)(4):水戸地方法務局土浦支局に、水戸地方法務局土浦支局用の本店移転登記申請書と、水戸地方法務局つくば出張所用の本店移転登記申請書2件を申請する。登録免許税は、3万円+3万円で金6万円。水戸地方法務局土浦支局で受付後、水戸地方法務局つくば出張所へ申請書が郵送され、水戸地方法務局つくば出張所で登記される。
【特例有限会社の株式会社への移行】
- 会社法の施行により、有限会社法は廃止され、旧有限会社は、株式会社として存続するものとされました。このような旧有限会社を「特例有限会社」と呼びます。そこで、定款の変更を決議する株主総会の決議によって商号も株式会社に変更することが可能ですが、これも登記をしなければなりません。
- 登記手続きとしては、(1)株式会社を設立し、(2)特例有限会社を解散という形式で同時申請となります。なお、定款は新たに作成し直す必要がありますが、通常の株式会社設立と異なり、公証人の認証は必要ではありません。
<移行へのポイント>
- (1)株式の譲渡制限に関する規定の設定の可否
- (2)機関設計及び役員等の任期の調整
- (3)発行可能株式総数の増加の可否
- (4)事業内容の追加・変更
- (5)増資(※)
- ※株式会社移行の際に増資をする場合、増資の変更日(払込期日又は払込期間の末日)が移行による設立登記申請日と同じであれば、移行の登記と同時に増資後の資本金の額で登記が可能です。