経営承継円滑化法とは




 「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」(以下、中小企業経営承継円滑化法)は、平成20年5月に国会で成立し、今年10月1日から施行されています。しかしながら、それを実行に移すための21年税制改正案の状況が未だ不確定です。この法律は両方揃って初めて効果が出てくるものであり、決定まではまだ紆余曲折や延期などの可能性があります。
<内容は現時点ではまだ不確定であり、税制改正により実際に決定されるものと違う場合がありますので詳しくは専門家にお聞きください>






中小企業経営円滑化法はなぜできたの?


 平成18年版中小企業白書によると、「後継者がいなことを理由に、毎年約7万社の企業が廃業し、これに伴って20~35万人が仕事を失っている」と推定されています。事業承継において、相続税の重い負担やほかの相続人への遺留分(遺言などによっても侵されない、法定相続人に認められる一定の相続財産の取り分)制度による資産や株式の分散によって、内部統制がとれなくなったり、資産の分散により財務体質が悪化し廃業を判断される中小企業は多いようです。
このままでは、雇用が確保できないだけでなく、中小企業がもつ高度な技術が失われることも懸念されています。そこで政府は、地域経済の活力維持のためにも、日本経済の基盤ともいうべき中小企業の経営承継を総合的にバックアップするために、「中小企業経営承継円滑化法」を創設しました。


実際、中小企業の事業継承の方法には「親族内継承」に限らず「従業員への継承」「mergers and acquisitions(M&A)」の3つの方式がありますが、「中小企業経営承継円滑化法」はこれらすべての選択肢において適した方法がとれるように配慮しています。










対象となる中小企業とは?


 中小企業経営承継円滑化法の適用対象となるのは、一定期間以上継続して事業を行っている一定の非上場会社で、原則的には中小企業基本法上の中小企業です。つまり、医療法人などは対象外である点に注意してください。また、個人の資産管理を行う法人は除外とされています。但し、具体的にどの企業が「資産管理法人」と認定されるのか、また事業会社と資産管理法人を兼ねている場合などの判断など実務的な問題は残っています。




<中小企業基本法第2条>




資本金または出資金
従業員数


製造業その他
3億円以下
300人以下


卸売業
1億円以下
100人以下


小売業
5000万円以下
50人以下


サービス業
5000万円以下
100人以下