簡裁訴訟代理関係
・ 訴訟
・ 訴訟
- 当事者同士で解決できないような紛争を、裁判所の判断によって、最終的・法律的に、解決するための手段のことを訴訟(裁判)といいます。
- 私人間の紛争において、訴える側を「原告」、訴えられた側を「被告」といいます。刑事上の「被告人」とは違います。
- 法は、「自力救済の禁止」を規定しています。つまり、当事者自ら力ずくで紛争を解決しようとすることを禁じています。その代わり、紛争解決のために国家権力が力を貸してくれます。そのための手続きが裁判手続です。
・少額訴訟
- 訴額が60万円以内の金銭支払請求に関する訴訟のみ利用可能
- 利用回数制限:1年に10回まで
- 訴え提起時に、少額訴訟である旨を述べ、少額訴訟利用回数を届け出なければならない
- 原則として、1回の口頭弁論期日で終了し、判決言渡し
- 証拠調べ:即時に取り調べることができるものに限る
- 判決において、3年以内の分割弁済の定めをすることが可能(期限の利益喪失の定めも必要)。この場合、不服申立は不可。
- 職権で、仮執行宣言がつく
- 控訴できない
・簡易裁判所の訴訟の特徴
- (1)迅速な裁判
- (2)司法委員(有識者)による和解の勧め
- 簡易裁判所における訴訟手続について、民事訴訟法第270条は「簡易裁判所においては、簡易な手続により迅速に紛争を解決するものとする」と規定しています。また、簡易裁判所では、司法委員に補助をさせたり、立ち会わせたりして、訴訟や和解の勧試を行ったりします。ここで成立した和解は「訴訟上の和解」といいます。
・民事調停
- ・支払督促
- 支払督促が使用可能なのは、金銭その他の代替物、または一定数量の有価証券給付を目的とする請求です。債権者からの申立てをうけて、簡易裁判所が支払いの命令をだしてくれます。裁判所は、証拠調べや相手に事情を聞くことをせず、書面が間違いないかを確かめるだけです。強制執行まで、早ければ、二ヶ月かからずに済みます。
- 但し、相手方が異議を出せば、通常訴訟に移行します(不足分の費用を追加します)。支払督促にかかる印紙代は、訴訟の半分です。
・訴え提起前の和解
- 即決和解、起訴前和解とも言います。話し合いで和解が成立したものを、債務名義にしておくものです。訴訟より費用が安く債務名義を得ることができます。
・それぞれの比較(管轄)
裁判所の管轄は訴訟、調停、支払督促等ではそれぞれ異なります。
訴訟(*1) | 被告の住所等を管轄する裁判所(但し、合意管轄) | |
---|---|---|
財産権上の訴え(金銭請求等) | >義務履行地を管轄する裁判所 | |
不法行為に関する訴え | 不法行為地を管轄する裁判所 | |
不動産に関する訴え | 不動産所在地を管轄する裁判所 | |
調停 | 相手方の住所地等を管轄する簡易裁判所 | |
当事者が合意で定める地方・簡易裁判所 | ||
支払督促 | 債務者の住所地等を管轄する簡易裁判所の裁判所書記官(*2) |
訴訟(*1) | 被告の住所等を管轄する裁判所(但し、合意管轄) | |
---|---|---|
財産権上の訴え(金銭請求等) | >義務履行地を管轄する裁判所 | |
不法行為に関する訴え | 不法行為地を管轄する裁判所 | |
不動産に関する訴え | 不動産所在地を管轄する裁判所 | |
調停 | 相手方の住所地等を管轄する簡易裁判所 | |
当事者が合意で定める地方・簡易裁判所 | ||
支払督促 | 債務者の住所地等を管轄する簡易裁判所の裁判所書記官(*2) |
(*1)例えば、貸金返還請求訴訟の場合の管轄は、被告(借主)の住所地等を管轄する裁判所、または義務履行地である原告(貸主)の住所地を管轄する裁判所に生じることになり、管轄が複数生じます。原告は、いずれの裁判所にも訴訟を提起できますので、自分にとって都合の良い裁判所に訴訟を提起できます。金銭債務は原則として、持参債務であり、借主が直接貸主のもとに持っていかなければならないので、義務履行地が貸主の住所となります。
(例1)
100万円の貸金返還請求訴訟において、原告である貸主が水戸市内に在住していて、被告である借主が横浜市に在住している場合、管轄は水戸簡易裁判所か横浜簡易裁判所となり、原告がどちらかを選択することになります。原告にとって都合がいいのは、一般に自宅から近い裁判所になるので、水戸簡易裁判所に訴訟を提起した方がよいという事になります。
(*2)支払督促に対して、督促異議が出た場合は、通常訴訟に移行します。その場合の管轄は、支払督促を発した裁判所書記官の所属する簡易裁判所、または、その所在地を管轄する地方裁判所となります。
(例2)
100万円の支払い督促申立において、原告である貸主が水戸市在住していて、被告である借主が横浜市に住所がある場合で、横浜簡易裁判所に提起し、これに督促異議が出た場合の訴訟の管轄は、横浜簡易裁判所または横浜地方裁判所となります。
・ それぞれの比較(費用、メリット・デメリット)
- 必要な費用(手数料・収入印紙代等)は訴訟、調停、支払督促等の手続ごとに異なっており、それぞれメリット・デメリットがあります。どの手続が本人にとって一番良いかは、具体的な事情、相手方との関係等によって異なります。